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さいころ亭オリジナルワールド
『ザウゼリアリコシェ』
特殊設定編冒険者ギルド
 
「おい、坊主、お前さん冒険者ギルドって知っているか?」
少年はぶんぶんと首を横に振る。ドラゴニアは、「やれやれ」とでも言うように、肩をすくませる。
「そ〜か…。知らんのか…。じゃあ、まず、そっから教えてやるよ。いいか、冒険者ギルドってのは、冒険者のための…、え〜と…、まあ、組合みたいなもんだ。この冒険者ギルドっていうのに入っておくと、いろいろなサービスが受けられる。仕事の斡旋や、自分が行方不明になった時に捜索隊を出してくれたりする。あと、ギルドに加盟している宿屋で、ちょっとイロつけてもらったりな。しかし、そうそう美味しい話ばっかじゃねぇんだ。ギルドに入るとちょっとした制約がつく。ギルドの仕事を優先しなくてはならないとか、山賊や海賊、盗賊みたいな真似をしてもなんねぇ。ギルドの人間がそういう事をしているのがばれたら、別の冒険者に依頼したりして止めにくるだろうな。え? 何故かって。そんなん決まってんだろ。それじゃぁ、冒険者じゃあなくて、ただのならず者だからな。ん?なに? ああ…オレ? オレももちろん冒険者ギルドに入っているぜ。」
そういうと、ドラゴニアは懐から1枚のカードを取り出す。
「こいつがその証明書ってわけだ。こいつを持っている事で、ギルドに参加している冒険者だと証明できるのさ。ん? ギルドに入っていない冒険者ね。いるぜ。いっぱい。なんで入らないのかって? そ〜だなぁ…。ま、いろいろと訳はあるだろうが…、面倒くさいとか、一人が好きとかな。でも、一番の理由は [賊行為が出来ない] ってとこかな。だけど、そんな事言っている奴ってのは、よっぽどのダメ野朗だな。だってオレら『冒険者』なんだぜ?」
ドラゴニアの問いかけに少年は首をぶんぶんと縦に振る。そして意を決したように、ドラゴニアに話しかける。
「ぼ、僕も冒険者ギルドに入ります。」
ドラゴニアはニヤリと笑いながら頷く。
「お前さんの思った通りにしな。」
ドラゴニアにそういわれて少年はコクリと頷く。
「さて、少し喉が渇いたな。なんか飲むか?」
ドラゴニアはそう言うと、奥で、お盆を片手に走り回っている女の子に声をかける。
「オ〜イ、フラニー。なんか、飲み物くれぇ。」
「なぁ〜にぃ、待つのら。今行くから。」
フラニー呼ばれた女の子は、器用に客と客の間をすり抜けて二人の所までたどり着く。
「おっまたせぇ〜♪ 何にするの?」
彼女は二人の顔を交互に見る。
「酒。…あんま強くないのがいいな。お前は」
ドラゴニアは少年の顔を見ながら問う。急にふられて、少年はびっくりしてしまう。こんな所で酒を飲んだ事はないし、第一何を頼めばいいのかすぐに出てこない。そんな少年を察してか、フラニーは、「なんか、ジュースでいいよね。」と聞いてくれた。少年はぶんぶんと頭を縦に振る。フラニーはニッコリ笑うと、また器用に客の波の中に戻っていった。
「あ、あの…、ここでの飲み物っていくらくらいするのですか?」
少年はドラゴニアにたずねる。すると、ドラゴニアはニヤリと笑って、少年に返した。
「なにいってんだよ。オレのおごりだよ。」
少年はドラゴニアに向かって頭を下げると「ありがとうございます。ドラゴニアさん」と礼を言う。それを聞いたドラゴニアは大声で笑いはじめた。
「そ〜か、お互いまだ、自己紹介がまだだったな。オレはヴォルシュターノ。ヴォルシュターノ・グラーノだ。」
ヴォルシュターノはそういって手を差し伸べる。少年はその手を握り返しながら答えた。
「フォールです。フォール・カルバーノン。でも、いいんですか?ヴォルシュターノさん? 代金を払ってもらってしまって。」
ヴォルシュターノは嬉しそうに笑いながら言う。
「ああ、構わねぇよ。それとな…。」
「?」
「ヴォルシュターノさんはやめろよな。恥ずかしいから。ヴォルフでいいぜ。そっちの方が気に入ってんだ。」
そんな会話を交わしているうちに、フラニーが飲み物を持ってやってきた。
「は〜い、飲み物おまちぃ♪遅くなってゴメンなのらぁ♪」
二人は、フラニーが持ってきたグラスを手に取ると、互いにグッと飲み物を喉に流し込んだ。
説明1 『冒険者ギルドのこと』

 冒険者ギルドとは冒険王フォードが設立した組織で、冒険者のためにいろいろなバックアップを行ってくれるところです。その内容は、加盟冒険者への仕事の斡旋、万一どこかで消息が絶ってしまった時の捜索隊の派遣、人を探す時などの情報収集などです。また、冒険者ではない人からの「冒険者への苦情」も受け付けていたりします。ギルドは世界中のいろんな国から加盟店をつのり、その土地での冒険者のバックアップを後援しています。また、加盟店から、「うちの方で、最近山賊が多くて困っています。誰か良い冒険者を紹介してくれないでしょうか。」などという、冒険者の募集みたいな物も集めており、それを各地に流し冒険者の流動を行ったりします。
また、小説中でヴォルフが言っていたように、冒険者になると少し制約がつきます。ギルドから来た仕事を優先的にこなすのと、賊行為の禁止です。「冒険者」という肩書きがあっても、普段は何かしらのバイトして生計を立てなくてはなりません。また、冒険者への仕事はそんなにしょっちゅう来る訳でもありません。ようするに、冒険をしていない冒険者はただのプータローな訳です。それならばと、中には山賊をしたりして生計を立てるものも出てきます。そういう事が起こる率を減らすため、また、星の数ほどいる「ならず者候補生(=冒険者)」を「ならず者」にさせないために、《ギルドというルール》が生まれてきたのです。

 
説明2 『冒険者になる人とギルドに入らない冒険者』

新しく冒険者になる人の大半は冒険者が格好良いからとか、冒険王フォードの伝説にあこがれて、などという人が多いようです。また、他に職が無かったために冒険者になった、などという話もたくさんあります。しかし、中には別の目的で、加入する人もいます。小説中のフォールくんはその良い例です。彼は行方不明になった父親を探すために冒険者になろうとしているのです。実際「誰かを探して…」というのは少なくありません。人が集まり、情報が集まる冒険者ギルドは人探しには持ってこいなのです。また、なにかの資金を得るためにギルドを利用する者もいます。冒険者の仕事の一つに「遺跡探索」という仕事があります。古代人の作った遺跡は、すごいお宝が眠っている事がしばしばあるので、一攫千金を夢見る者には、現実的な活動となるでしょう。また、国家や別の組織から使命を受けているものが、ギルドに加盟している事もたまにあります。彼らは、「行方不明になった時、捜索隊をだしてくれる」というギルドのバックアップを最大限に利用しているのです。彼らの中には、命の危険が高い使命を抱いている者も多いでしょう。もしも、彼らになにかあったとき、このバックアップは、その性質上最大限の結果を挙げるでしょう。たとえ、自分が助からなくても、生死の確認が取れていれば、第二、第三の手が打てるのですから。
では、ギルドに入らない冒険者とはいったいどんな人々なのでしょうか?それは、どっからどうみてもただの山賊なのに、危ない時だけ冒険者になる「なんちゃって」冒険者や、冒険者を名乗っているが、恐くて真面目に冒険ができない町のチンピラなどです。ギルドにはいっていなくても、「俺は冒険者だ」と名乗れば、冒険者になれるのです。周りがどう思おうと、本人がそう言いきってしまえばそうなのです。しかし、ギルドに入っていない冒険者を全て、なめてかかってはいけません。ときには凄腕の一匹狼の冒険者がいるかもしれないからです。
また、ギルドに入らずに、宿屋の「専属冒険者」になる者もいます。世界中を回って冒険するのではなく、地元で地道に活動する冒険者のことを俗にこう呼びます。
「冒険者」という言葉が「チンピラ」と同義語になるのか、「冒険者」という言葉が「名誉ある者への呼び名」になるかは、冒険者自身(=あなたたち)が答えを出していってください。

 

 
【3】冒険都市フォード
 

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