Table-talk Role Playing Game Circle"SAI-KORO-TEI"
GURPS
ザウゼリア
シナリオ『奉龍の歌』 

2002/01/20 GM:MK

■プレイヤーキャラクター

『パザン=ニージェル』人間女性15歳:にょろ
『パメラ』ミリガン・ティット族女性16歳:keel
『ルク』ミリガン・プチ族男性12歳:T381

■あらすじ

山深いパメラニア王国の初夏。テテオラの街は年に一度の奉龍祭の準備に沸き立っていた。
祭りの最後のメインイベントでは、龍に歌をささげる歌姫を選出する歌合戦が行われ、それに優勝した歌姫だけが、龍に歌をささげる役目を授かることができるという。
この歌姫を地元から輩出することは、非常に名誉なことであり、周辺地方の自治体は有力な歌姫のスカウトに躍起になる。…本来の主旨とは外れてきているような気もするが、まあ、現実世界の高校野球のようなものであろう。
ところで、テテオラの擁する歌姫はここ4年間連続優勝を納めてきた実力派だったが、プロデューサーがどんなミスをやらかしたのか、契約更新に失敗して街を去ってしまった。
青くなった責任者のパヌザック氏は、急遽、代わりの歌姫の獲得に奔走することになった。
この時期、実力のある歌姫はほとんどが各地の自治体に押さえられており、今更テテオラの代表になってもらえる可能性は低い。が、彼には一人だけ心当たりがあった。近郊のボエム村のそばにある白銀の森に住むという、謎の歌姫、ヘミエラだ。

モンスターも棲息し、侵入者を拒む深い森の中に棲むという彼女に、直接会った者は居ないというが、満月の夜に森の奥から流れてくるというその歌声は、噂を聞いた近隣の人々をボエム村に押し掛けさせ、ごみ問題で入山規制をしかなければならなくなるほどだという。
しかし、祭りの準備に忙殺されるバヌザック氏は、自分で現地まで行っている暇はない。
祭りはあと1週間後まで迫っているのだ。彼は馴染みの冒険者の店に、依頼することにした。
そして、一仕事終えてテテオラの冒険者ギルド提携の宿『龍の鱗亭』でくつろいでいた冒険者パーティー3人がヘミエラとの契約を結ぶ為に白銀の森へ行くことになったのだった。
報酬は前金で200。成功後にあと100。ヘミエラとの契約には、金に糸目はつけなくていいとのお墨付き。必要経費もどんとこいだ。おいしい。

冒険者達は、ボエム村でヘミエラに会う為に情報を集め、彼女が人間ではなく、腕の代わりに翼を生やし、足には鉤爪の生えた妖精であること、現在は月影の塔の中にこもっていることを突き止めた。

ヘミエラ

月影の塔…白銀の森の中にそびえる、その古い塔には伝説があった。
冒険者達はそれを、風車の守り人トリシュから聞くことができた。

森のむこうの古城にまだ王がいて、今は荒れ野となっている丘がその城下町として栄えていた頃のこと。名君とうたわれた王が、偶然出会った妖精に恋をしたのだという。
マールタという妖精の娘は、王の熱意にほだされ、彼女もまた王を愛するようになった。
王の盟友だったという賢者マードックと名前の伝わっていない司祭は、彼らの結婚に当初は反対したが、二人の愛情の深さに心を動かされ、国中もその結婚を祝福した。やがて二人の間にはルティアという娘も産まれ、幸せは永遠に続くかと思えたが、悲劇の使いは密やかに忍び寄っていたのだ。王は赤い服を着た女性と密会するようになりマールタは、それを責めることはなかった。自分が妖精であるせいで王の気持ちが離れたのだろうと思い、自らの血を呪って崖から身を投げて命を絶ってしまった。
心優しい王妃の死に、城下は沈んだ。表面上はマールタの死を悼んだ王だったが、その1年後、密会していた赤い服の女性と急遽再婚する。かつての王とマールタとの間の愛情の深さを知っていたルティアは、賢者マードックと司祭の力を借りて、その赤い服の女性の正体が、人の心を喰らう邪な妖精であることを突きとめた。そして彼女を追いつめ、月影の塔に幽閉することに成功したが、それを悲しんだ王は自らの命を絶ってしまう。
結果として父王を死へ追いやってしまったルティアは悲嘆に暮れ、涙が涸れるまで泣きつづけ、その涙は川となり、ついには洪水となって辺りを覆い、王国のことごとくを飲み込み滅ぼしてしまった。
こうしてこの地の王国は滅び、今は何も無い丘と古い城の跡だけがのこっているのだという。ルティアが泣きつづけた場所は、今でも妖精の泉という名で残されており、そこは妖精たちによって守られているという…

赤い服の妖精テイニア

塔の根元にある小屋に棲むテネばあさんによると、その塔には今も邪悪な妖精テイニアが封印されており、ヘミエラは定期的にこの塔を訪れ、その歌声でテイニアを眠りに就かせているのだという。
しかし、1ヶ月ほど塔の中から出てきていないらしい。
塔の中でヘミエラに何か起こったのかもしれない。冒険者達は、塔の封印を解き、中に入る為の鍵となるカードを集めることになる。
城跡や龍の祭壇跡で、塔の中のテイニアが操る空飛ぶナマズっぽいモンスターを倒し、大風水車の機関部を徹夜で捜索し、泉を守る2mあるカニのような妖精をじゃんけんで負かして協力を約束させ、ついに10枚のカードを集めて塔に入ると、ヘミエラはとりあえず無事で、何かの装置を修理していた。それは彼女が歌を歌う時に伴奏に使う楽器で、これがないとテイニアを眠らせるほどの力を歌に込められないらしい。
装置が壊れてしまい修理しているうちに1ヶ月経ってしまったのだという。
妖精の時間感覚はちょっと特別なのだろう、やっぱり。

しかし、実は事態はかなり切迫していた。1ヶ月間、鎮める歌を歌えなかった為、テイニアの眠りが浅くなり、彼女の使い魔である空飛ぶナマズが活動を再開していたのだ。
(それで、封印を破壊する為、ナマズもカードを探していたのだ。冒険者達はカード探索にこのナマズがいる場所を目安にしたりした)
テイニアについて、ヘミエラは月影の塔の伝説の、知られざる真実を語った。
これまで語られていた伝説では、テイニアは王妃から王を奪い取り、悲しみの内に自殺させた悪役である。しかし、はじめこそ王をたぶらかし、その悲しみの念を喰おうとしていたテイニアだったが、一緒の時を過ごす内に、最後には本当に王を愛するようになっていたのだという。愛する王から無理矢理引き離されて塔へ幽閉され、その結果、王も自ら命を絶ったというその事実に、テイニアは今も深く人間を憎んでいるのだ。
このままだと封印を破ってテイニアは塔の外へ逃れ出て、手当たり次第人間を殺すだろう。
なにか手伝えることが無いかと問う冒険者に、ヘミエラは、一つの方法を伝える。
冒険者達がテイニアを弱らせて、その隙に再度眠らせ封印する為の歌を歌うという。
テイニアは、殺してもすぐ蘇る。不死身なのだ。今は眠らせて封印することしか出来ない。
装置は完全ではないが、タイミングが合えばテイニアを眠らせる程度は稼動できるらしい。
ヘミエラは言った。いつか彼女を救える方法が見つかるまで、わたしは彼女を滅ぼしたくはありません。そのため今は痛みに耐えて…彼女に刃を向ける心の痛みに耐えてください。と…
普段、自分からは決して相手に剣を向けることのないパザンもその言葉に決心した。
遺跡ハンターとしてこれから幾多の敵を倒す運命にあるパメラも、その言葉の重みをかみ締めた。
武器の扱いに前者二人ほどの自信の無いルクも、何もせずにいることは出来ず剣を抜いた。
ヘミエラが、冒険者が集めてきたカードを砕くとほころびかけたテイニアの封印がとけ、赤い衣をまとった妖精が目を覚ます。その華奢な肢体に幼ささえ感じさせる彼女は、言葉も無く、目の前の憎い人間に襲い掛かってくる。PC達にとっては心の重い戦いだった。
(PLはきゃーきゃー言いながら楽しんだが(笑))
倒されては蘇り、そのたびに少しずつ変身し強力になるテイニアも、ついに体力が尽きかけ、最後にヘミエラの所へ向かおうとしたところでパメラのとどめの一撃で力尽きた。
不死身であるため死にはしないが、動けなくなった彼女を、ヘミエラが眠らせ、封印する。

哀れなテイニアが再び眠りに就き、かりそめの平穏が訪れたあと、ヘミエラは、テテオラの街へ歌を歌いに行くことに、意外とあっさり同意してくれた。
歌を歌って聞かせることが、基本的に好きなのだろう。報酬のことは口の端にも上らなかった。
宿の入り口がよくわからずに煙突から入ってきた、ちょっと天然ボケ入った彼女には、人間の使うお金についての知識が無かった。パヌザック氏との交渉の際、ルクは彼女に、5000フォードほど要求して村にお土産を買っていってあげるよう入れ知恵したのだった。

無論、優勝は今年もテテオラの街。ヘミエラの種族の歌声に票を入れない為には、意志判定が必要らしい。ほとんど反則である(笑)
(MDで流れるイメージソングを聞きながら、セッション終了)

※長くなるのでいろいろと端折られています。
他にもいろいろ笑い所はあったんだよ。カードを無くしてうな垂れてる2mのカニとか、月影の塔の下に棲んでるテネばあさんが、昔、カニにファイアーボール一発お見舞いして言う事を聞かせた話とか、テネばあさんに頭のあがらないレンジャーのおっさんとか。借りたカードをカニが返して貰いに来たところとか(返す約束だったのだが、ヘミエラが封印を解く時に粉々になってしまったのだ)、大風水車の管理人の女が、石を投げつけて、空飛ぶナマズみたいな使い魔を撃墜した所とか…
(ナマズがそこまで弱いのか…いや、その女が一種の化け物なのだろう(笑))
 

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